ねこのオーランドーたのしい日々(キャスリーン・ヘイル)
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![]() 描かれているのは、家族の幸せな日常風景 ねこのオーランドーたのしい日々
キャスリーン・ヘイル(作) こみやゆう(訳) 梅雨入りもしないまま、5月にして猛暑日を経験するとは思いませんでしたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて、実は今回で50冊目のご紹介なんです。月1冊だと、50冊でも随分先だなあと思ってましたが、確実に月日は流れて。 というわけで、「ねこのオーランドー海へいく」をご紹介したのは2年前の夏のこと。 これまで、一度ご紹介したシリーズからは再び選ばないようにしていたんですが、記念すべき50冊目なので!(大げさ?)今回ばかりは、どうぞ許してやって下さい。 それほど個人的にお気に入りで、おすすめの作品です。 あらすじは、オーランドーとグレイス、夫婦で子猫達のための学費を稼いで、それぞれを習い事に通わせる、というもの。 2年前にも少しふれましたが、個人的にグレイスがめちゃんこツボなんです。 猫のためのユニークな発明品でしっかり稼いだオーランドーとグレイス。しかし、子猫達の習い事が忙しくなってきたある日、グレイスがひとりで泣いているのを、オーランドーが見かけて理由をたずねます。 「こどもたちが、いろいろできるようになっていくと、自分が、どんどん、おばあちゃんになっていく気がするの」
なぜか、オバサンを通り越して、おばあちゃんになってしまいそうだと嘆いている…!
そんなはずはないのだけれど、彼女は真剣そのもの。うつむき加減に、両前足の甲をまぶたにあてて泣きじゃくるグレイスが、可愛らしいやら、いじらしいやら。 もうね、目の前にグレイスがいたら、迷わず抱きしめちゃう!(笑) その後オーランドーは、慰めるためにグレイスを街へ連れ出します。立ち寄った洋服屋さんでグレイスが買ったのは、ヒョウ柄の毛皮を思わせるコート。 ヒョウ柄の毛皮…。「おばあちゃんになってしまいそう」と泣いていたとは思えない、結構とんがったチョイスです。 しかし、グレイスいわく、 「これを着れば、自分の毛皮にあきたとき、べつのねこになった気分になれるわ」
なるほど。猫ならではの発想でした。
オーランドーや子猫達のフォローの甲斐あって、グレイスの不安は解消されました。 見方によっては古風かもしれないけれど、女性的な弱さを素直にさらけ出すグレイスは、やっぱりチャーミングだなあって思います。 他にも、授業が嫌すぎて、体毛が真っ白なのをいいことに気を失ったふりをする、授業中に蚊をくちゃくちゃ噛む(蚊=ガム?)など、子猫達のいたずらも楽しいですし、こわいもの見たさに家族でドッグショーを見に行こうとするとか、随所に小ネタ満載です。 そのひとつひとつが、ハッピーな気分にさせてくれますよ。 なんだかんだと賑やかな作品ですが、描かれているのは、家族の幸せな日常風景。 子猫達やグレイスが見せる朗らかな様子からは、夫であり、父であり、この絵本の主人公であるオーランドーの喜びも伝わってくるようです。 私自身は、この作品を読むと、子供の頃に家族で過ごした日々の楽しかった記憶がよみがえってきて、心の中がポカポカになります。 本来なら秋冬にご紹介するのがぴったりだったかな…とも思うんですが、その点も許してやって下さい(50冊目なので!)。 100冊なんて、随分先だなあ。 でもまたきっと同じように、月日は流れてゆきそうです。 ねこのオーランドーたのしい日々
キャスリーン・ヘイル(作) こみやゆう(訳) 好学社 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |