A Lion in Paris by Beatrice Alemagna
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![]() パリへの旅心をかきたてられる絵本 A Lion in Paris
by Beatrice Alemagna 今回ご紹介するのは、パリが舞台の絵本です。
日々の生活に退屈した若いライオンが、パリを訪れます。 One day he set off to find a job, love and a future.
電車でリヨン駅に到着。都会に来るのは初めてなので、ちょっとビクビクしながら街を歩き、カフェでお茶をしますが、誰も彼に注意を払いません。
怖がって叫ばれたり、ライフルで撃たれたりしたらどうしよう、と心配していたライオンですが、あまりに無視されて当惑します。 注意を惹こうと、地下鉄のホームで大声で吠えてみますが、多少顔をしかめられた程度。とっても寂しくなってしまいます。 雨まで降り出し、街はグレーに染まり、ライオンは、故郷の明るく美しい大草原が恋しくなります。 しかし…雨が止むとパリの街は本来の魅力を発揮します。 ポンピドゥセンターの建物は、たくさんの星のように光り輝き、セーヌ川の川面は鏡のようになって微笑みかけます。 ついに彼に気づいて優しく微笑みかけたのは…ルーブルのモナ・リザでした。 モンマルトルの丘のサクレ・クール聖堂は、クリーム・ケーキみたい。 エッフェル塔を登りきると、人々は蟻のように小さく見えて、ライオンはその眺めがとっても気に入りました。 最初は、よそよそしく思えたパリの街ですが、今は皆が自分に微笑みかけているようです。 The city that had appeared so dreary and frightening and grey in the morning, now seemed to be smiling at him with all its windows.
大きな交差点に通りがかったとき、ライオンは自分にぴったりの大きな台座をみつけます。そこに登って大きな声で吠えると何百台もの車がいっせいに歓迎のホーンを鳴らしました。
ライオンは自分の居場所を見つけ、喜んでそこに留まることにしました。 作者は多くの受賞作を持つイタリア人女性、Beatrice Alemagna。パリで家族と暮らしています。 ダンフェール・ロシュロー広場のライオン像にインスパイアされて作ったお話です。 このライオン像は自由の女神の作者として有名なバルトルディの作品。とても大きいですが、ベルフォールのライオン像の1/3のレプリカだそうです。 絵本には、世界で一番の観光都市であるパリの名所がちりばめられていて、個性的なコラージュと、少し歪んだ構図のイラストが印象深く、深みがあります。 大判で、横ではなく、縦に開く形なのも良いです。横長なので、絵画のように壁に立てかけて飾っておくこともできます。 作者へのインタビュー動画がたくさんYoutubeで公開されていますが、とっても素敵なパリジャンですよ。 パリへの愛情が感じられ、旅心もかきたてられる絵本です。 A Lion in Paris
by Beatrice Alemagna 出版社:Tate ![]()
谷津 いくこ
絵本専門士 絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。 StoryPlace HP:http://www.storyplace.jp Facebook:https://www.facebook.com/storyplacejp/ |