ねこのオーランドー海へいく(キャスリーン・ヘイル)
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![]() 動物たちの感情表現がユーモラスでごきげんな作品 ねこのオーランドー海へいく
キャスリーン・ヘイル(著) 私の知る限り、これまでろくに夫婦二人での旅なんてしてこなかった父母でしたが、6年前に父が定年退職をしてからは、たまに夫婦ででかけるようになりました。
昨年の夏は奮発をして、クルーズ船に乗るツアーに参加。船内のリゾートだけでなく、どこかの花火大会を船上から楽しんだりもしたそうです。 毎年ここでは夏に海の絵本を紹介していますが、3度目の今年も海です。表紙を見てお察しの通り、とってもごきげんな作品です。 この作品のみどころは、その動物の特徴と感情表現とをユーモラスにブレンドしたキャラクターと、ごきげんな展開にあります。 猫たちは退屈な時も上機嫌な時も、まるで人間が猫に化けているみたいに人っぽいし、馬たちも、馬に似てるなーっていう仕草の人がそのまま馬になったような(?)。 動物の容姿や生態と人間くささ。両方のリアルをいい塩梅で身にまとった猫や馬のキャラクターが、夏休みの船旅をエンジョイしているのです。 茶トラ猫のオーランドーが、自分の家族を遊びに連れていくあても余裕もなく、一家全員暑さで溶けそうなほど夏バテしてるところへ、家族で船旅をするから君たちも一緒に来ないか?と、馬のバルカンが誘いにやってきます。 大喜びの我が子たちを見て、オーランドーは「いや、かたじけない」とうやうやしくバルカンに頭をさげて、同行させてもらうことにしました。 後半に大変な事件が起こり、オーランドーが大活躍。 ごきげんな展開で物語は終わるんですが、本筋と関係なく私のお気に入りは、オーランドーの奥さんグレイスとバルカンの子供キューピッド。両者とも、読んでるこちらまでが虜になってしまうくらいキュートな存在なのです。 オーランドーはグレイスのことが大好きでしかたないし、キューピッドの愛くるしさは、行く先々でダメなことをしても、誰からも「しかたないわね」と許されてしまうほどのもの。 こんな風に周囲の心を鷲掴みにできたら、人生バラ色に違いないんですもの、憧れずにはおれません(笑) さて母曰く、一度参加したら旅行会社から頻繁に素敵な船旅のパンフレットが届くとか。いやいやいや、そんな何度も行かへんし、行かれへんし!って、思わず早口でつっこんでしまいそうですが、オーランドーみたいに、ひょんな「おこぼれ」に与れるなら、そりゃもう何度でも行きたいところです。 いいなあ、オーランドー。 皆さま、どうぞ素敵な夏休みをお過ごしくださいね。 ねこのオーランドー海へいく
キャスリーン・ヘイル (著), 小沢 正 (訳) 童話館出版 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |