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The Billy Goats Gruff by P.C. Asbjornsen

「欲張りすぎるな」という教訓?

The Billy Goats Gruff
By P.C. Asbjornsen
『三びきのやぎのがらがらどん』の英語版絵本です。

この表紙に見覚えのある方は多いのではないでしょうか。私も子どもの頃にどこかで読んでもらって、強烈に印象に残っていました。

P.C. Asbjornsen, J. E. Moeが集めたノルウェーの民話の中でも人気のお話です。 “billy goat” は雄ヤギ、”gruff”は、しわがれ声のという意味で、三びきの名前です。

ノルウェー語では「De Tre Bukkene Bruse」で、bruseはやはり「うなり声」の意味があります。「がらがらどん」とは、素晴らしい訳ですよね。

お腹をすかせた三びきのやぎは、つり橋の先にある一面緑の丘に行って、お腹いっぱい食べようと考えましたが、つり橋の下には、橋と一体になったかのような巨大で恐ろしいトロルが住んでいて、橋を渡るものたちを食べようと待ち構えていました。

この全貌がよく見えない、形のよく分からないトロルが恐ろしくて、記憶に焼きついていました。

なぜ一番小さくて弱いやぎが最初につり橋を一人で渡ったのか、

なぜトロルはやぎの言う事を信用して、より大きなやぎが来るのを待ち、1番目と2番目のやぎを食べずにすんなり通したのか、

なぜ3番目のやぎは、圧倒的な強さでトロルに勝ったのか、

などと考えたりもしますが、面白いから、長く語り継がれるのですね。

さて、このお話は民話なので色々な作家のものがあります。日本では、ほとんど Marcia Brown のもの一色ですが、アメリカやイギリスでは他のイラストの絵本の方が人気のようです。

“The Three Billy Goats Gruff” を YouTube で検索すると沢山のアニメーションも見つかりますが、トロルの大きさや形は本当に様々。緑の大きなモンスターだったり、鬼のような姿だったり。

Marcia Brownのイラストがあまりに印象深くこのお話と結びついているので、他のイラストで読むと違和感がありますが、他のイラストの絵本を読むと新たな発見があるかもしれません。

例えば、Paul Galdone の絵本に登場するトロルは、いかにも北欧神話に登場するトロルです。髪の毛がボサボサで、大きな鼻で出っ歯の醜い姿をしています。
大きさもあまり大きくなくて、これなら最初の二匹に騙され、一番大きなBilly Goatに倒されるのも納得です。

北欧の神話のトロルは、そんなに頭は良くありません。そう考えると、ストーリーがすんなり理解できます。このお話は、「欲張りすぎるな」という教訓だとも言われていて、トロル側から見た教訓なのですね。

しかし、Marcia Brownの絵本の最後のページで、たくさんの草を食べてお腹が地面につきそうに大きくなっているやぎたちは、かなり貪欲に見えるのですが。。。

知っているお話なら、英語でも理解しやすいので、是非いろいろ読み比べてみてください。
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
HP:http://www.storyplace.jp
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