ふたりはともだち(アーノルド・ローベル )
![]() |
|
![]() 温かい友情に満たされた、ふたりの愛すべき日常 ふたりはともだち
アーノルド・ローベル 私のお店のはす向かいには、駅の近くだというのに、ぽつんとずーっと残っていた小さな田んぼがあって、夏になるとカエルの鳴き声が聞こえてきていました。
ところが昨年、ついにそこがコンビニに変わりました。 便利さにすっかり気を取られていたけれど、カエルがやってくる場所がもうないんだと最近ようやく気がついて、ちょっぴり寂しいこの頃。我ながら随分勝手な心境だなあと、苦笑いしてしまいます。 ということで今回は「ふたりはともだち」です。 5つエピソードが収録されているうち、「おてがみ」は教科書で親しんだ方も多いはず。 がまくん宛に書かれたかえるくんのお手紙。それをかたつむりくんに託してしまったせいで、手紙が届くまで4日もかかってしまう、というものです。 かたつむりくんの「すぐやるぜ。」というセリフは、今読んでも笑っちゃいます。 面倒見がよくて優しい、お兄ちゃんタイプのかえるくんと、甘ったれで、放っておけない弟タイプのがまくん。 がまくんの子供っぽくて奇抜な行動に対して、扱い方をばっちり心得ているかえるくんは、怠けようとするがまくんの興味をあの手この手で引き出して必要な行動を促したり、喜びそうなことをやってあげたり、いつも思いやりに溢れています。 だいたいがそんな調子ですが、「すいえい」というエピソードは少し様子が違います。 がまくん自身もヘンテコだと自覚している自分の水着姿を、色々あって、結果的に皆の前で晒すことになってしまいました。 皆に笑われるがまくん。その時、かえるくんはというと?かばうのかと思いきや、皆と一緒になって、くすぐったそうに笑っている(!) さすがに友情にひびが入ってもおかしくないような場面では?と、ヒヤヒヤするのですが。 するとがまくん、普通なら、恥ずかしさのあまり取り乱しそうなものですが、一切ひるまず冷静に、「おかしいにきまっているじゃないか」と堂々言い放ち、1人で家に帰っちゃうのです。 普段は甘ったれでも、実はなかなかの度胸とタフなメンタルを持ち合わせていた、がまくん。 かえるくんがリードしているように見える彼らの関係ですが、それがうまくいっているのは、がまくんの意外な一面もあってのことなんだと、ちゃんと描かれているのがこの作品の素晴らしいところです。 今回取り上げたエピソードは、オチまでご紹介してしまいましたが、がまくんとかえるくんのシリーズは、4冊各5話ずつ、全部で20のお話があります。 温かい友情に満たされた、ふたりの愛すべき日常をぜひお楽しみになってみてください。 ふたりはともだち
アーノルド・ローベル (著), 三木 卓 (訳) 文化出版局 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |