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Dear Mili by Wilhelm Grimm and Maurice Sendak

Dear Mili
By Wilhelm Grimm, Illustrated by Maurice Sendak
1983年に150年ぶりに発見されたグリム兄弟の弟Wilhelmの作品で、Sendakが5年を掛けて微細で美しいイラストを描き、出版されてベストセラーになった絵本です。
 
Wilhelm Grimmが母親を亡くした女の子、Miliに宛てた励ましの手紙に添えられた物語で、家族によって大切に保管されていました。
 
エピソードに惹かれて購入したのですが、意外な展開のストーリーに驚かされました。
 
ある小さな家に母親と女の子が静かに幸せに暮らしていました。しかし、戦争がひどくなり、小さな家の近くからも煙が立ち上るのが見えました。
 
母親は、女の子を救うため、3日間森の奥に隠れているように言って送り出します。
 
森は暗く、鳥たちの恐ろしい鳴き声が響きます。道は険しく、風が吹き荒れ、女の子はついに一歩も進めなくなって座り込んでしまいます。
 
しかし、女の子には守護天使がついていました。再び歩き出した女の子は、老人の住む小さな家にたどり着きます。
 
老人は聖ヨセフでした。女の子は老人の家で休息を得ることができました。次の日、女の子は外で自分にそっくりの女の子に出会います。守護天使でした。二人は楽しく遊びます。
 
3日が過ぎ、家に戻ることになりました。老人は、バラの蕾を女の子に手渡し、この花が咲いたらまた会えると言います。
 
守護天使に導かれて、女の子は森の中を戻ります。森の端で天使と別れ、母親の元に急ぎますが、周囲の景色が以前と異なっています。
 
建物も木々も違って見え、戦争の跡もありません。辺りは平和で緑が鮮やかです。
 
家に着くと、老婆が頭を垂れて座っていますが、女の子を見て喜びに叫びます。老婆は母親で、3日間ではなく30年の月日が経っていたのでした。

母親と女の子は再開を喜び、夜通し幸せに過ごします。そして次の日の朝、近所の人が二人が亡くなっているのを見つけます。母親と女の子は幸せそうに一緒に眠りにつき、二人の間には綺麗に咲いたバラがありました。
 
なんともショッキングなお話でした。「洋書と絵本を楽しむ会」で参加者の方にこの絵本を紹介した時も、皆さんの「えーっ」という反応がちょっと楽しくもありました。
 
女の子は森の中で命を落としてしまったのでしょうか。そして母親が亡くなる前に会いに戻ったのでしょうか。
 
このお話は、母親を亡くした女の子のために書かれたものでした。どのような意図があったのでしょうか。これを読んだ女の子は慰められたのでしょうか。
 
色々考えさせられるお話です。
 
イラストの中にも色々な仕掛けがあって、Sendakの戦争に対する思いが反映されているようです。森の木が人の背中に見えたり、遠くを青白い顔をした人々の一団が歩いていたり、モーツアルトのような人が寝そべっていたり。見る度に発見があります。
 
絵本の最初にMiliに宛てた手紙の文章があり、原文はドイツ語だと思いますが、英語の文章もとても美しくてロマンティックです。
(本文より)”… one human heart goes out to another, undeterred by what lies between. Thus does my heart go out to you, and my eyes have not seen you yet, it loves you and thinks it is sitting beside you. And you say: “Tell me a story.” And it replies: “Yes, dear Mili, just listen.”  
やはりこんな手紙と自分だけのために書かれた物語を送られたら、慰められたに違いありません。

八津谷 郁子
洋書屋オーナー

一般のペーパーバックを途中で挫折してしまった方には、児童書がオススメです。楽しく読める上に、英語力アップにも効果的。大人でも楽しめる児童書を紹介します。
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