サンタおじさんのいねむり(ルイーズ ファチオ )
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![]() サンタおじさんのいねむり
ルイーズ ファチオ (著) 関西で暮らすものにとって影響はなかったものの、先月の雪のニュースには驚きましたね。
ハロウィンが終わるとすぐクリスマスっていう、せっかちな街の風景が当たり前になって久しいですが、お天気までが、こんなにせっかちになっちゃうとは…(笑) 今月の絵本は、タイトルと表紙のイメージを見れば、一体どんなハプニングが起きて、その後どうなるか、だいたい想像できてしまう、単純なお話です。 イブの夜、サンタさんが途中で居眠りしちゃったために、森の動物たちが協力して仕事のフォローをする、というもの。 子どもの頃に読んだならば、きっと、うっかりマイペースなサンタにハラハラさせられながら、親切な動物たちの働きに感動するわけですが、私は大人になってこの絵本を読んで、すっかりサンタのおじさんに共感を覚えたのでした。 連日の深夜残業(プレゼントの準備)がたたって、いよいよ本番という日。たまった疲れはもうピークです。 目覚ましにちょっと珈琲を飲もうと考えたのが運の尽き。夜食のサンドイッチに手をつけて、眠くならないはずがない。サンタおじさんは、気絶するかのように眠ってしまい、彼は夢の中で、プレゼントを配ります。 これと同じような経験、皆さんはありませんか? もう後がないっていう、スケジュールがギリギリの時、いつの間にか眠ってて、夢の中で仕事してるんです。 ひどい時は、期日までに仕事が終わらなかった夢を見て、騒ぎになってるところで目が覚めて、汗だくになってたり。余計ぐったりしちゃって、何のために眠ってるんだか(笑) いかにも子供向けの本という印象を湛えながら、夢の中で仕事をこなすシーンがあったりして、繁忙期の慌ただしさに大人が共感を覚えるという、随分と見かけによらない作品なのですが、この作品、実はリメイクによる絵本です。 アメリカの童話作家の作品が元になっていて、日本人の二人が、絵本に仕立て直したものです。 眠っているうちに、仕事が片付いているなんて。 きっと多忙を極めていたであろう、この絵本の創作に関わった作家たちの「こんなことあったらいいのに」的な妄想が、色濃く反映されてるようにも思えます。 けれどちっとも悲壮感がなくて、お茶目な作品だなあーと心和まされるのは、柿本幸造さんが描く、温かくてふわふわ柔らかそうな、ぬいぐるみみたいにかわいらしいキャラクター達と、優しい雰囲気に満ちた色彩のなせる業かもしれません。 柿本幸造さんの絵が大好きなので、この時期になると、つい手にとってしまう作品です。 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |