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The Elephant and the Bad Baby By Elfrida Vipont

The Elephant and the Bad Baby
by Elfrida Vipont
児童書なら辞書をひかなくても読み切ることができます。 やさしい文章をたくさん読む事は、英語上達の近道でもあります。 大人でも楽しめる児童書を紹介しています。

この絵本は、ちょっと不思議なストーリーで、一度読んだだけでは意味が分からなかった。

私の頭の中で「ぞうさん」は、とても良い動物の固定観念があったから。

ここでは、Elephant はいいかげんな泥棒です。

ある日、散歩に出かけたゾウは、Bad baby に出会う。

ゾウが、"Would you like to ride?" と尋ねると、悪い子は、"Yes" と答える。

ゾウは、悪い子を背中に乗せて、 rumpeta, rumpeta, rumpeta と足を踏みならして道を進む。

この音が不思議でリズムも良くて楽しい。

2人が道を行くと、いろんな素敵なお店が現れる。

アイスクリーム屋さん、パン屋さん、お菓子屋さん...

イラストは、Snowman の Raymond Briggs。

とても細かいところまで丁寧に、そして色鮮やかで魅力的に描かれていて、 キャンディーもパンもフルーツもとっても美味しそう。

どれも入ってみたくなるお店ばかり。

ゾウは、悪い子に「食べたいかい?」と尋ねて、悪い子は "Yes" 「うん」と答える。

そして、全部のお店から、自分と悪い子に食べ物をくすねちゃう。

怒ったお店の人達が、みんな後を追いかけてきて、どんどん列が長くなる。

アイスクリーム屋さん、パン屋さん、お菓子屋さん…

突然、ハタとゾウが気付いて立ち止まる。

「そういえば、きみ今まで一度もPleaseって言わなかったよね!」

後を追ってきている店長さんたちにも言付ける。

「この子は、一回もPleaseって言わなかったんだよ。」って。

みんなは、泥棒を追いかけることは一旦お休みして、悪い子を責める。

それ程までに”Please”を言わないのは、いけない事なんですね!

日本語版では、Pleaseが「ちょうだい」と訳されているけれど、 「ありがとう」の方が感覚的に近いように感じる。

日本で、お母さんが子どもに「ありがとう」は?と躾けているのと同じように、 英語圏では、”Please”は?と何度も躾けられている様子。

飛行機でフライトアテンダントさんに 「コーヒーですか?紅茶ですか?」と尋ねられたら、Please を付けて答えましょう。

無いととっても乱暴に響くみたいですよ!

さて、悪い子はみんなに責められて、 「おうちに帰りたい」”Please, I want to go home.”と言います。

ゾウはまた悪い子を背中に乗せて、家に向かう。

悪い子のお母さんは、とっても良さそうな人で、みんなにパンケーキを振る舞ってくれる。

楽しくお茶をした後、店長さんたちは、またゾウを追いかけて町に戻っていくのでした。

謎だらけのストーリーだけど、説教なのに説教くさくないのが素晴らしい。

そして、何度も読み返したくなる魅力に溢れた大好きな絵本です。
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
HP:http://www.storyplace.jp
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