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上野 美穂
小豆島 空き樹バンク プロジェクト主宰

こちら瀬戸内、小豆島! ライフスタイル 2020-05-06
再会のハグを楽しみに

陽が長くなり、勤務を終えて帰宅してもまだ空は明るく、車窓から眺める海岸線は世の中の動揺と反して、静。何事もないように、風がふき、マジックアワーに心が揺れる。

現状『島においでよ!』とは言えず、何度も第二の故郷のように小豆島に来島してくれた人達からは離島の現状を心配する声が聞こえ、現実に対する虚無感と憤りと、そのなかで光る人々と自然の優しさに触れ、心はなかなか落ち着かない毎日を過ごしている。
オリーブ栽培や観光業、瀬戸内芸術祭などでスポットライトがあたる陽の印象が強い離島だが、地方自治体の類に漏れず、超高齢社会、少子化は顕著だ。進学就職で若者達は島外に出て行き、平均賃金は安く、医療資源、教育資源には限りがある。独居老人も多く、セーフティネットがコミュニティであると実感する事は多い。

「月に一度大阪にいる息子がいろいろしに来てくれるから・・・」そんな風に話していた、おばあちゃん。息子さんが来島出来ずにいる中で生活は出来ているのか・・・心配になる。

千年のオリーブの樹
観光業を押し進めていた島なだけに今回のコロナウィルスによる経済的打撃は計り知れない。収束の目処もつかぬ中、飲食店や小売り店はTakeoutやオンライン販売に切り替えている。

島に来島しないと手に入らなかったものがオンラインで注文出来る今、そちらで島の名産品を感じて頂けたら。

HOME MAKERS
小豆島、肥土山にてカフェ、野菜の栽培、加工、販売を営んでいる。島の名産品も取り扱い、ラインナップも今後増えていく予定、と。野菜沢山のカレー、季節感のあるスイーツ、開放感ある店内・・・再開を楽しみにしています。
https://homemakers.shop-pro.jp

本当なら、春の一大行事、肥土山農村歌舞伎もあったのに。農村舞台を照らす月と山の陰影、割子弁当を片手に農村歌舞伎を楽しむ人々の姿がなんとも言えず贅沢な空間、伝統行事なのだ。
あんなに賑わっていた、エンジェルロードにも人陰はない。人を乗せずに往来するフェリーの姿がもの悲しい。

エンジェルロード 2019 春
オンライン呑み会も思っていたより使い勝手がよく、東京—大阪—インドネシア–小豆島、などの呑み会が開催されそれはそれで楽しいが、やはり同じテーブルを囲み、酌み交わす一時が恋しい。三密りたい。
再び来島を喜べるようになった時、笑顔でハグしあえるように。心地よい居場所をちゃんと創っておくよ。

価値観のどんでん返しが起きつつあるなかで、変わっていくものと変わらないもの、護るべき物を心のなかに留めておかなくては。

今日も良い風が吹いている。変わらず瀬戸内海は美しい。

塞ぎがちな日々が続くが、時には窓を開けて深呼吸を。目の前のテレビを消して、窓の向こうの緑を見よう。ユーモアを大切に、不安と恐怖に蝕まれて『いま』を蔑ろにしないように。

『いま』の重なり合いが、未来に繋がっていくのだから。たくさんの『再会』と『再開』を楽しみに今を生きるのだ。
 
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上野美穂
『小豆島 空き樹バンク』
プロジェクト主宰

山形県庄内町出身。実家は養豚農家。教育と国際協力のフィールドで20代を過ごし、30歳で看護師へ。関東の救急病院で働いていましたが、2018年小豆島の風土に心奪われサクッと移住。余暇を利用し『小豆島 空き樹バンク』プロジェクト主宰。

休日は猪の解体をしたり、山の縦走を試みたり里山生活を満喫中。魅力溢れる日本の田舎をもっともっと沢山の人に知ってもらいたく日々奮闘しています。
上野美穂
FB:https://www.facebook.com/miho.ueno.10

小豆島 空き樹バンク
Twitter:https://twitter.com/gaL964cw4QcXYGx

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