関西で働く女性のライフスタイルマガジン［関西ウーマン］

秋はブライダルのトップシーズン。
週末の街中では、
結婚式に参列するのであろう、
華やかに着飾った人たちをよく見かけます。


お花屋さんで働いていると、
花束を買いに来た男性のお客様に
「何の用途で渡すお花ですか？」
と尋ねると、時々、
「実はプロポーズをしようと思っていて･･･。」
という、胸がときめくような返事が返ってくる事があります。

もう、それだけで背筋がしゃん！と伸びるのですが、
希望の色とか、希望のお花とか、
いつどんなシチュエーションで渡すのかなどを尋ねていくと、
悩みながら、彼女を思い浮かべながら答えて下さる姿に、
目の前に立つ男性の緊張感が私にも移ってきて、
このお花を受け取る方はなんて幸せなのだろうと、
私まで幸せな気持ちになります。

そして、これから起こる事が、
いかに男性にとって大きな決意の下にあって、
これから伝えようとしている一言一言に、
どれだけの重みがあるのかを感じるのです。

このプロポーズ前の緊張感は、
きっと女性には知り得ないことだと考えると、
こんなシーンに遭遇出来るのは
花屋の役得だな･･･などと思いながら、
ご依頼頂いたブーケをお渡しするまで、
同じように緊張した時間を過ごしています。
 
先日も、プロポーズのブーケを
買いに来られた方がいらっしゃいました。

初めは、
「お誕生日か何かですか？」
と尋ねると、
「えぇ、まぁそんな感じです。」
とのお返事。

なので、お誕生日のつもりで、
どんなブーケにするか提案してみたら、
どうもかみ合わない。

よくよく聞いてみると、
実はプロポーズをしようと思っていて･･･との事。

お誕生日とプロポーズでは、
お薦めしたいお花も、
作る時のこちら側の気持ちも、
全然違うんです。

お花を束ねる私達フローリストも、
ただお花を束ねているのではなく、
お誕生日だという花束には、
おめでとう、いてくれてありがとうという想いを込め、
結婚してくださいと伝える花束には、
こんなに想ってくれていますよ、
どうかうまくいきますようにと願いを込めて、
1本1本のお花を束ねていきます。


プロポーズの時に渡すというこのブーケにも、
想いが伝わりますように、
喜んでくれますようにと願いを込めて、
作らせてもらいました。
 
さらに以前には、
108本の赤いバラが欲しい、と
尋ねて来られた方もいらっしゃいました。

これも、プロポーズのブーケ。
バラは贈る本数毎にそれぞれ意味があって、
お客様はお知り合いの方から、
108本のバラに意味が含まれている事を聞かれたそうです。


バラの花が、贈る本数毎に持つ意味とは、
1本だと“一目惚れ”、
24本だと“1日中いつも想っている”、
100本は“100％の愛”、
108本は“永遠の愛を誓う”など･･･。


108本ものバラを束ねると、
想いの強さがそのまま表れたような、
大きな大きな、ロマンティックなブーケになりました。
 
どちらのブーケも、
引き取りに来られた男性に、
「いつお渡しするんですか？」と尋ねると、
“家にこっそり置いておこうかと･･･”とか、
“車のトランクに忍ばせておいて･･･”など、
一生懸命考えた筋書きが出来上がっているので、
思わず自分の両手を握りしめ、
「きっと上手くいくと願っています！頑張って！！」
と送り出さずにはいられませんでした。


私は以前、
ウェディングプランナーとして
結婚を決めた新郎新婦様の為に働いていましたが、
そのひとつ前の、
一生に一度の人生が変わる時に少しだけ関われる今を、
とても嬉しく思います。

お作りしたプロポーズブーケが、
どれも幸せに繋がっている事を願いながら･･･。