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Donkey-Donkey by Roger Duvoisin

自分らしくいるのが一番

Donkey-Donkey
by Roger Duvoisin
ロバの表情が印象的な表紙のこの絵本は、1940年に出版され、2016年にデザインを一新して復刊されました。

書店で見かけ、イラストに一目惚れ。動物たちの愛らしく、深みのある絵がとても素敵です。楽しそうなところ、悲しそうなところ、疑っていたり、自慢に思っていたり、大笑いしていたりの表現が生き生きしています。

ストーリーはシンプルです。Donkey-donkeyが、自分の大きくて上に立った耳が馬鹿みたいに感じてしまい、友達のアドバイスに従って、犬みたいに下に垂らしたり、羊みたいに横にしたり、豚みたいに前に向けたりするのですが、その都度ひどい目にあってしまいます。

結局は、自分らしくいるのが一番という普遍的なお話ですが、説教くさくなく、ユーモラスで、大人でも楽しめる内容なのが魅力的です。

どんな人(動物)も、みんなに価値があって、それぞれが素晴らしいのだ、他人(動物)と比べる必要はないのだ、と何度も言われ、読み、学び、頭では分かっていても、気づいたら比べてしまう…

私は、ヨガを練習していますが、ヨガでも学ぶテーマです。大人でも実践できないのだから、絵本で繰り返し扱われるのは当然なのですね。

ところで、ロバは外国の児童書にはたくさん登場しますが、日本では見かけませんし、お話にも出てこないですよね。

この絵本を読んで、検索をして、ロバの耳がウサギのように上にピンと立っているのに気づきました…可愛らしいですね。

「王様の耳はロバの耳」って、馬でも羊でもなくロバだったのは、そういう事だったのか、と今さら思い至りました。

Donkey-donkeyが耳のことを気にして悲しんでいると、つばめのDanielがやってきて言います。
“Donkey-donkey, silly donkey.
You aren’t a dog. You aren’t a lamb.
You aren’t a pig. You are a donkey.
Keep your ears up as donkeys do.
Tweet! Tweet! Tweet!”
Donkey-donkey はびっくりしますが、通りかかった女の子に耳をほめられて、すっかり自信を取り戻し、幸せいっぱいになります。単純なロバさんですね。

このお話は、子どものころに読んだことがあるかもしれません。どこか懐かしい気がしました。日本でも、この再販版が『ロバくんのみみ』として新たに翻訳されています。
Donkey-Donkey
by Roger Duvoisin
Publisher: The New York Review of Books
profile
谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
StoryPlace
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