まんまるがかり(おくはらゆめ)
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![]() 「まんまるがかり」に気づくって素敵なこと まんまるがかり
おくはらゆめ(作) 2月です。にゃんこ月間です。
昨年5月から、私のお店では「多くても同時に150冊までしか本を並べない」と決めて営業しているんですが、そうすると、今月はにゃんこの絵本が目立ちます。 今回ご紹介する作品は、にゃんこというだけでなく、時期的にもぴったんこの、かわいらしい作品です。 絵本の主人公は、ハナマルという名前のサバトラ。オスで4さい。 半ノラもしくは外飼いなのか、町内で自由に過ごしているようです。 物干し台を設置した小さな庭にツバキやウメ、ラッパスイセンが植えられています。木造の平屋で、ブロック塀には「山田」と表札がかかっています。 私の祖父母の家も、こんな造りだったなあ。 通っていた小学校の近くに祖父母の家があって、両親が共働きだったので、毎日、祖父母の家に帰っていたんです。 プロフィールによりますと、おくはらゆめさんは1977年兵庫県生まれだそうです。リアルな懐かしさを覚えるはずでした、私も77年生まれです。 さて、ハナマルがこの家にくると、おじいちゃんは庭で水やりしていました。 それからしばらくして、女の子がランドセルを背負って帰ってきました。 道路には新聞配達の人がいるので、午後3時くらいでしょうか。 ハナマルに「まんまるがかり」という役割を見出したのは、おじいちゃん。 確かにネコは、表紙の絵みたいに、正面から、あるいは真上から見ても、まんまるになれちゃう動物です。 で、お話の後半。まんまるになれちゃう新たな存在が登場します。何でしょうか。 ちっちゃなダンゴムシです。彼らの体もグレーです。うんと大きな体のハナマルを、嬉しそうに取り巻いて「おやぶんですか?」「おやぶんですよねえ?」と、羨望の眼差しを向けます。 フワフワの絵による、ユルユル展開です。 ほろりと緊張が解かれる、この感じ。 昨日までの寒さが急に和らいで、春先のなま暖かい空気に触れた時の心地よさにも似ています。 画面をよく見渡してみると、まんまる尽くし。庭のウメのつぼみとか、敷き詰められた玉砂利。おじいちゃんが育てている盆栽の苔玉。女の子のカスタネットやしゃぼん玉。まだまだあって書ききれません。 そういえば、先日「長浜盆梅展」に行った時のこと。会場にいた係のおじさんが「梅は満開だと遅い。花とつぼみ両方あるのが見頃なんだよ」と教えてくれました。 ああ確かに。今にも咲いてしまいそうっていう、ふっくらとした丸いつぼみの、なんと愛らしいこと。きっときれいに咲くはずっていう確かな様子に、ワクワクさせられて。 身の回りの「まんまるがかり」に気づくって、素敵なことでした。 よかったら皆さんも、探してみてください。 まんまるがかり
おくはらゆめ(作) 理論社 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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