クリストファーのしあわせないちにち(バレリー ゴルバチョフ)
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![]() 新しい知識にふれる喜び クリストファーのしあわせないちにち
バレリー・ゴルバチョフ(作) 三原泉(訳) 以前から憧れはあったのですが、今、自分の中で一番大きな関心事になっているのが「着物を着ること」です。
興味とはまことに不思議。スイッチが入ると、今までと景色がガラリと変わります。これまでは「着物」としか認識できなかったものが、例えば「小紋」と「名古屋帯」と識別できるようになるんです!こんなちっちゃい話が、どうかしてるくらい嬉しい(笑) 今回ご紹介する絵本は、こんな気持ちに共感を覚える作品です。 ハミングでもしてそうな仕草のウサギ(クリストファー)がいて、頭の上をチョウが舞っている表紙。 彼はどうしてこんなにご機嫌なのか?それは、学校で「数の数え方」を教わったことが嬉しくてしょうがないからです。 「すごいや。ぼく、もう なんでも かぞえられるんだ!」 彼の目に映るいつもの風景は、全て「数えるためにあるもの」となりました。 学校から帰ってからも、鉛筆なら「1本、2本」。ノートなら「1冊、2冊」。水槽の金魚、おもちゃ、キッチンの皿や靴箱の靴…片っ端から数えようとします。 そりゃもう嬉しすぎて、数えずにはいられない。家の中だけでは飽き足らず、今度は家の外へ。仲間が森の中で遊んでいる風景にも、数える機会を見つけて楽しむクリストファー。 こうした作品を読まずとも、身近な子供たちがそうした仕草を見せてくれる機会は多いものです。大人になって目にすると、「子供は(大人と違って)そんなことで盛り上がれていいなあ」と考えるだけ(和むだけ)で、つい終わっちゃう。 ところが作品としてふれると…和みながらも、それだけでは終われない。仲間から「一緒に遊ぼう!」と誘われたとき、彼も、いつもならプレイするほうを選んだかもしれません。でも彼は今、数えたくてしょうがないのです。 自らバスケットの得点係や、かくれんぼの鬼になって、みんなで楽しみます。このことはもしかしたら、周囲の目には「みんなを楽しませるのが上手な子」と映ったかもしれません。 些細なことを嬉しがっているクリストファーの様子が微笑ましいことだけでなく、そうした成り行きで仲間に受け入れられている様子が羨ましくもあり、読み進めるごとに「そういうのいいなあ、私も何か始めてみようかな」といった気持ちがわいてきます。 新しい知識にふれる喜びは、私たち大人にも、きっと同じ幸せをもたらしてくれます。 私の場合、だいたい5年周期で新しいことに興味がわいてくるようで、今回は着物。その前は文楽、もう一つ前は海外ドラマだったなあ。好きなことが増えていくって楽しい。 ということで、着物に興味を持ったばかりの私。これからしばらく、また幸せな時期を味わおうとしているところです。 クリストファーのしあわせないちにち
バレリー・ゴルバチョフ(作) 三原泉(訳) 偕成社 ![]() 恒松 明美
ギャラリーリール(GALLERY RiRE)店主 小説なら1日。映画なら2時間。絵本なら、長くても15分くらいでしょうか。 それでも小説や映画に負けないくらい、心が満たされる絵本があります。 毎日、時間がたりない…。そんな、忙しく働く女性にこそ、 絵本はよきパートナーとなってくれると思います。 毎日窮屈だな。ちょっと背伸びしてばかりだったかな。 「心の凝り」が気になる時におすすめの、絵本をご紹介します。 ギャラリーリール(GALLERY RiRE) |
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