うちの犬(コ)が認知症になりまして(今西乃子)

今まで見送った子たちを思い出す
うちの犬(コ)が認知症になりまして
今西乃子(著)
今西乃子(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFM みのおエフエムの「デイライトタッキー」。
その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
2025月3月26日放送の番組では、今西乃子さんの『うちの犬(コ)が認知症になりまして』をご紹介しました。
今西乃子さんは児童文学作家で、日本動物愛護協会の常任理事でもいらっしゃいます。
「うちの犬(コ)が認知症になりまして』は今西さんのお家のわんこ、柴犬の未来ちゃんの老後の様子と、介護する今西さんご夫婦の日常を描いたエッセイです。
未来ちゃんは生後2ヶ月(推定)の時に、今西さんのお家にやってきました。
動物愛護センターから引き取ったのです。
2ヶ月のわんこを想像すると、思わず口元が緩んでしまいます。
さぞや可愛かっただろうなと。
ところが、その頃の未来ちゃんは悲惨な有り様でした。
その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
2025月3月26日放送の番組では、今西乃子さんの『うちの犬(コ)が認知症になりまして』をご紹介しました。
今西乃子さんは児童文学作家で、日本動物愛護協会の常任理事でもいらっしゃいます。
「うちの犬(コ)が認知症になりまして』は今西さんのお家のわんこ、柴犬の未来ちゃんの老後の様子と、介護する今西さんご夫婦の日常を描いたエッセイです。
未来ちゃんは生後2ヶ月(推定)の時に、今西さんのお家にやってきました。
動物愛護センターから引き取ったのです。
2ヶ月のわんこを想像すると、思わず口元が緩んでしまいます。
さぞや可愛かっただろうなと。
ところが、その頃の未来ちゃんは悲惨な有り様でした。
収容当時、右目負傷、右後ろ脚の足首から下が切断、左後ろ脚も指から先が切られていて、なかった。傷の状態から虐待だと想定される。
(今西乃子さん『うちの犬(コ)が認知症になりまして』P5より引用)
(今西乃子さん『うちの犬(コ)が認知症になりまして』P5より引用)
私はその時の未来ちゃんの姿を想像して、怒りと悲しさでいっぱいになりました。
虐待という言葉など ぬるすぎる仕打ちです。傷害事件でしょう。
生後1,2ヶ月の子犬には警戒心などなかったはず。
そんな子に、よくもそんなことができたなぁ!!????
そこはこの本の趣旨とは違うので、私の怒りを書き連ねるのはやめておきますが、何度考えても怒りがおさまりませんわ。
でも、未来ちゃんは今西さんのお家の子になって幸せでした。
未来ちゃんは足に障がいがあったけれど、今西さんたちと散歩に出かけるうちに、筋力が鍛えられたでしょうか、ひよっこりひょっこりと歩くことができるようになったし、階段の上り下りも器用にこなせるようになりました。
未来ちゃんと同じタイミングで今西さんのお家の子になったミックス犬のきららちゃんの存在も良い刺激になったのかもしれません。
今西さんは小学校などを訪問して、虐待がいけないことだと子どもたちに伝える講演会「命の授業」を行なっておられましたが、未来ちゃんは同行し、身をもって命の大切さや可能性を伝えるようになったのでした。
だけど、そんな未来ちゃんが16歳になった頃から老いが顕著になり、さまざまな介助が必要になってきました。認知機能が衰えて、徘徊や夜鳴きをするようになりました。17歳を過ぎると介助ではなく介護が必要に。
介護は体力もいるし時間もかかるし大変なのですが、今西さんには強い思いがありました。
それは未来ちゃんだけではない、これまで触れ合ってきた愛犬への恩返しの気持ちです。
今西さんは子どもの頃から犬が好きでした。
小学3年生の時に初めて犬を飼った時には、こんな可愛い生き物を作ってくれた神様に感謝したほどです。
その子は13歳で亡くなったのですが、その時今西さんはおそらく20歳前後。ご実家を離れて生活されていました。そのため愛犬の老後や最期に立ち会っていません。今西さんはその時に、心から申し訳なく思ったそうです。
次に家族になったわんこは病気で亡くなってしまいました。
今西さんは、次こそはちゃんと老後に寄り添い、最期まで共に過ごしたいと考えたのでした。
人間がそうであるように、犬も平均寿命が伸びています。
長く生きれば老後も長くなり、犬だって認知症になるわけです。
老いや認知症の症状はいろいろあります。
ぐるぐるぐるぐる同じところを回ったり、まっすぐ前にしか進めなくなったり。前にしか進めないから歩いて行って家具などの間に入り込むと、そこからバックして出ることができないのです。
認知症とは関係なく、足腰が弱ってしっかり立っていられなくなるし、トイレの失敗もしてしまいます。
でも何より辛いのは夜鳴きかも知れません。
認知症のわんこは昼夜逆転することが多く、夜に起きて鳴くのです。
ああ、わかる。
わかりすぎて辛いくらいにわかる!
我が家ではシュヴァルツ・権三の前に、ラブラドールレトリーバーのディディエと、MIX犬のポンを飼っていました。
ディディエは15歳、ポンは18歳で星になりましたが、やはり最後の半年くらいは夜鳴きをしました。
どちらも結構体が大きかったので、鳴き声も大きく、私たちは睡眠不足に陥りました。
それより何より、夜中に鳴かれるとご近所迷惑になると思うと、それで神経がすり減るのです。あれは辛かった。
今西さんは、犬の認知症の症状や介護の具体的方法、夜鳴き対策などを丁寧に書いてくださっています。
私たちの場合、夜鳴きは獣医さんに相談して、睡眠導入剤を処方してもらったのだけれど、耐性ができてだんだん効かなくなったんですよ。
今西さんはサプリメントで症状を和らげたのだそう。サプリメントなので即効性はないけれどじわっと効くとのこと。シュヴァルツ・権三の老後の参考にサプリの名前を書き留めましたわ。とはいえ、個体差があるので、どのわんこにも効くかどうかはわかりませんが。
この本を読んでいると、わんこだけではなく、これまで見送った猫族のことも思い出されました。
病気で早逝した子、息を引き取るまで看取ることができた子、仕事から帰ってきたら冷たくなっていた子……。いろいろなお別れがありました。
この本には愛犬の老いに直面した家族の戸惑いと愛情が描かれていて、同じような体験をした者としては大いに共感すると同時に「癒し」を感じました。
人間の介護でも同じことが言えますが、同じ悩みを持つ人がいる、みんな同じなんだな、ということが救いになることがあるのです。
我が家のシュヴァルツ・権三は今年の11月で9歳になります。
私自身の老い支度と同時に、シュヴァルツの老後のことも考えなくてはいけないなと改めて思いました。
今西さんは、家族だけで抱え込まずに、助けてもらえる人や施設などを頼ることも大事と書いておられました。
怖がりのシュヴァルツ・権三が唯一喜んで出かけるわんこの保育園では、老犬のデイサービスをしておられるのです。シュヴァルツが老犬になったらそこで助けていただこうと思っています。ディディエやポンの時はそういった施設や団体があるとは思いもよりませんでした。
今、老犬の介護に疲れ果ていている方はもちろん、これから動物を飼おうと思っている方にはぜひ読んでいただきたい本でした。
虐待という言葉など ぬるすぎる仕打ちです。傷害事件でしょう。
生後1,2ヶ月の子犬には警戒心などなかったはず。
そんな子に、よくもそんなことができたなぁ!!????
そこはこの本の趣旨とは違うので、私の怒りを書き連ねるのはやめておきますが、何度考えても怒りがおさまりませんわ。
でも、未来ちゃんは今西さんのお家の子になって幸せでした。
未来ちゃんは足に障がいがあったけれど、今西さんたちと散歩に出かけるうちに、筋力が鍛えられたでしょうか、ひよっこりひょっこりと歩くことができるようになったし、階段の上り下りも器用にこなせるようになりました。
未来ちゃんと同じタイミングで今西さんのお家の子になったミックス犬のきららちゃんの存在も良い刺激になったのかもしれません。
今西さんは小学校などを訪問して、虐待がいけないことだと子どもたちに伝える講演会「命の授業」を行なっておられましたが、未来ちゃんは同行し、身をもって命の大切さや可能性を伝えるようになったのでした。
だけど、そんな未来ちゃんが16歳になった頃から老いが顕著になり、さまざまな介助が必要になってきました。認知機能が衰えて、徘徊や夜鳴きをするようになりました。17歳を過ぎると介助ではなく介護が必要に。
介護は体力もいるし時間もかかるし大変なのですが、今西さんには強い思いがありました。
それは未来ちゃんだけではない、これまで触れ合ってきた愛犬への恩返しの気持ちです。
今西さんは子どもの頃から犬が好きでした。
小学3年生の時に初めて犬を飼った時には、こんな可愛い生き物を作ってくれた神様に感謝したほどです。
その子は13歳で亡くなったのですが、その時今西さんはおそらく20歳前後。ご実家を離れて生活されていました。そのため愛犬の老後や最期に立ち会っていません。今西さんはその時に、心から申し訳なく思ったそうです。
次に家族になったわんこは病気で亡くなってしまいました。
今西さんは、次こそはちゃんと老後に寄り添い、最期まで共に過ごしたいと考えたのでした。
人間がそうであるように、犬も平均寿命が伸びています。
長く生きれば老後も長くなり、犬だって認知症になるわけです。
老いや認知症の症状はいろいろあります。
ぐるぐるぐるぐる同じところを回ったり、まっすぐ前にしか進めなくなったり。前にしか進めないから歩いて行って家具などの間に入り込むと、そこからバックして出ることができないのです。
認知症とは関係なく、足腰が弱ってしっかり立っていられなくなるし、トイレの失敗もしてしまいます。
でも何より辛いのは夜鳴きかも知れません。
認知症のわんこは昼夜逆転することが多く、夜に起きて鳴くのです。
ああ、わかる。
わかりすぎて辛いくらいにわかる!
我が家ではシュヴァルツ・権三の前に、ラブラドールレトリーバーのディディエと、MIX犬のポンを飼っていました。
ディディエは15歳、ポンは18歳で星になりましたが、やはり最後の半年くらいは夜鳴きをしました。
どちらも結構体が大きかったので、鳴き声も大きく、私たちは睡眠不足に陥りました。
それより何より、夜中に鳴かれるとご近所迷惑になると思うと、それで神経がすり減るのです。あれは辛かった。
今西さんは、犬の認知症の症状や介護の具体的方法、夜鳴き対策などを丁寧に書いてくださっています。
私たちの場合、夜鳴きは獣医さんに相談して、睡眠導入剤を処方してもらったのだけれど、耐性ができてだんだん効かなくなったんですよ。
今西さんはサプリメントで症状を和らげたのだそう。サプリメントなので即効性はないけれどじわっと効くとのこと。シュヴァルツ・権三の老後の参考にサプリの名前を書き留めましたわ。とはいえ、個体差があるので、どのわんこにも効くかどうかはわかりませんが。
この本を読んでいると、わんこだけではなく、これまで見送った猫族のことも思い出されました。
病気で早逝した子、息を引き取るまで看取ることができた子、仕事から帰ってきたら冷たくなっていた子……。いろいろなお別れがありました。
この本には愛犬の老いに直面した家族の戸惑いと愛情が描かれていて、同じような体験をした者としては大いに共感すると同時に「癒し」を感じました。
人間の介護でも同じことが言えますが、同じ悩みを持つ人がいる、みんな同じなんだな、ということが救いになることがあるのです。
我が家のシュヴァルツ・権三は今年の11月で9歳になります。
私自身の老い支度と同時に、シュヴァルツの老後のことも考えなくてはいけないなと改めて思いました。
今西さんは、家族だけで抱え込まずに、助けてもらえる人や施設などを頼ることも大事と書いておられました。
怖がりのシュヴァルツ・権三が唯一喜んで出かけるわんこの保育園では、老犬のデイサービスをしておられるのです。シュヴァルツが老犬になったらそこで助けていただこうと思っています。ディディエやポンの時はそういった施設や団体があるとは思いもよりませんでした。
今、老犬の介護に疲れ果ていている方はもちろん、これから動物を飼おうと思っている方にはぜひ読んでいただきたい本でした。

池田 千波留
パーソナリティ・ライター
パーソナリティ・ライター
コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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