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魔法のクローゼット(くぼしまりお)

おしゃれと元気は比例する

魔法のクローゼット
くぼしまりお(著)
初めてタイトルを見た時には「ふーん、よくある断捨離かお片付け関連の本かしらねぇ」と誤解してしまいました。洋服の数を絞って、迷いなく日々のコーディネートできますよ、というふうな。

でもサブタイトルを見て誤解に気がつきました。

「50代になった娘が選ぶ母のお洋服」

これは、母のおしゃれをサポートする娘さんによるファッション・ブックだったのです。

著者 くぼしま りおさんのお母さんとは、角野栄子さん。『魔女の宅急便』のご著者です。

角野さんは80歳を超えた頃「毎日着るものを考えるのが面倒になった」とおっしゃったそうです。

りおさんは、おしゃれだったお母さんらしくない、とびっくり。でも、角野さんはおしゃれを諦めた訳ではなく、今後はりおさんに着るものを決めてほしいと依頼したそうです。
かくして母に代わって、母の服を考える日々がスタートした。

母のスタイリングを始めて、すぐに気がついたことがある。母は決して、おしゃれが面倒になった訳ではなかった。ただ、昔のように服を買うために街を歩き回ったり、何回も試着をする体力がなくなっていた。
(くぼしまりおさん『魔法のクローゼット』P3 「はじめに」より引用)
私の母も現在80歳代。

確かに、おしゃれをしたいけれど自分一人でそれを叶える体力に問題が出てくるお年頃かもしれません。これは、今後の参考のために読まねば、と思いましたよ。

くぼしまさんがまず重視しておられるのはお洋服のフォルム。

高齢になって腕が上がりにくくなっていることを考慮して、脇に余裕があること、体を締め付けたり、冷やしたりしないことなどを考慮しておられます。

また、イラストレーターでいらっしゃるくぼしまさんは、色に対する意識が高く、顔色がよく見える配色、元気で可愛らしく見える色柄合わせなどを心がけておられます。

そのおかげでしょうか、角野さんは「お元気そうですね!」と声をかけていただいたり、ずいぶん若い世代の人からも「かわいい!」と評判がいいそうです。

最初は「こんな派手な色……」と戸惑い気味だった角野さんも、そんな日には上機嫌でご帰宅。何歳になっても、かわいいと言われたら嬉しいですものね。

すると、綺麗な色合わせのコーディネートを着ることに抵抗が薄くなります。結果的に気分が上がって元気になる!おしゃれにはそんな効能があると、くぼしまさんはおっしゃっています。

そうであれば、ご高齢の方こそ、明るい色、お気に入りのお洋服を着て堂々と外出するべきかもしれませんね。

くぼしまさんは、色合わせのコツや便利なアイテムなどをイラストで紹介してくださっていて、とても参考になります。ご自分のお嬢さんがこんなにも有能なファッションコーディネーターで、角野栄子さんはお幸せですね。

くぼしまりおさんの『魔法のクローゼット』を読み終わった私が真っ先にしたことは、カラフルな靴下を買うこと。一番少ない予算で手っ取り早く 応用ができますから。

現在80代の母のためであるだけでなく、未来の私のためにとても参考になる本でした。
魔法のクローゼット
くぼしまりお(著)
KADOKAWA
キセキの86歳、『魔女の宅急便』の著者・角野栄子を作ったのは『娘』だった!「既製品は老けた色とデザインばかり」となげく、大人女子のあなたへ。娘と母のためのファッション・ブック。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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